「外来種」と「外来生物」の違いと「特定外来生物指定の要件」についてまとめました

 

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Twitterを見てますと「外来種」「外来生物」という用語を結構頻繁に目にします。しかしこれらの用語の正確な定義を理解してる方はほとんどいないと思います。間違えてる人が非常に多いです。例えば次の2つどちらも間違いです。

  • 明治以前に国内移入しているものは外来種ではない
  • 外来種と外来生物は同じである

いろいろ調べてみましたのでそれを公開します。

国外外来種と国内外来種

まず最初に「外来種」とは本来の生息地域とは違う地域に生息している生物を指すのですが、どこからやった来たかという由来により「国外来種」「国外来種」とに区別されます。

図解にするとこんな感じ。

外来生物と外来種の違い

次にかなり紛らわしいんですが「外来種」とよく似たものに「外来生物」というものがあります。この二つは混同されてることが多いですが実は全く異なる概念です。

ちなみに「外来生物」というのは法律用語です。環境省が公開しているPDF等において次のように解説されています↓

外来生物法においては「外来生物」とは国外由来の外来種のみを指し、「外来種」とは由来の国内・国外を問わず、本来の生息地域とは違う地域に生息している生物を指すので、注意が必要である

先ほどの図解に付け足すとこんな感じになります。

「国外外来種」のことを外来生物法という法律上「外来生物」としているということです。

外来生物法の制定

ちなみに外来生物法が制定された背景等は次のとおりです。

外来生物による生態系等への被害が拡大していることを背景に、平成17年6月に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)が施行された。

ちなみに平成17年は西暦2005年となります。一部のザリガニが特定外来生物に指定されたのは2006年の外来生物法改正ですので外来生物法が制定されてすぐ一部のザリガニが特定外来生物に指定されたということですね。

特定外来生物とは

外来生物法において特定外来生物は次のように規定されています。

明治時代以降に日本に入り込んだ外来生物の中で、農林水産業、人の生命・身体、生態系へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から、外来生物法に基づき指定された生物(生きているものに限られ、卵、種子、再生可能な器官も含まれる)であり、同法によって規制を受ける。

ちょっと複雑なので勘違いしている方が非常に多いですが、ざっくり言うと国外由来の外来種(外来生物)のうち明治時代以降に日本に移入してきたもので生態系等に被害を及ぼす可能性があるものの中から法律で指定されたもの」が特定外来生物となります。

要点をまとめるとこんな感じ↓

  1. 国外由来の外来種(外来生物)のうち
  2. 明治以降に日本に移入してきたもので
  3. 生態系等に被害を及ぼす可能性があるもののうち
  4. 法律で指定したもの

特定外来生物指定は外来生物のみが対象

つまり、「特定外来生物」の指定が行われる対象は外来生物(国外外来種)のみです。

逆に言えば「国内外来種」によりどれだけ生態系に深刻な被害が発生していても「特定外来生物」に指定されることは現行法上ありえません。これはかなり問題視されています。実際おかしいでしょう。

国内外来種を軽視する風潮(国内外来魚問題等)
Twitter限定で、だと思いますが「国内外来種」を軽視する風潮がありますよね。なぜなんでしょうね。外来種は「国内外

特定外来生物の図解

ここまでのところを図解すると次のとおりです。

当方自身も実際に自分で整理してみてようやく理解できましたがこれを正確に理解してる方ってほとんどいないんじゃないんでしょうか?「生態系を保全しなければいけない」とか「外来種は駆除しなければいけない」とか言って有識者ぶってるような人でも勘違いしてる方がいたりします。

明治より前に移入していても外来種は外来種

かなり多くの方が勘違いしているのは明治より前に日本に移入していたとしても外来種は外来種です。「外来種」に関してはいつ国内移入したかという制限はないんです。

ただし「特定外来生物」に指定する対象の選定にあたっては明治以降移入という基準が設けられているということです。

農林水産省が外来生物について解説している

なおこのページの内容は農林水産省が公開してるPDFを参考にしています↓

  1. 特定外来生物とはなにか
  2. 特定外来生物による被害防止対策の基本的な考え方
  3. 特定外来生物捕獲による被害防止

かなり詳しく解説されていて内容も分かりやすいです。併せてお読みいただくのがおすすめです。環境省もほぼ同内容のPDFを公開してます。こちら

5/2追記:国内外来種も防除等の対策が必要

なお、本記事で書いたとおり防除等の対策が取られるのは国外外来種のみです。しかし、生態系に被害等を及ぼすのは外来種も同じです。したがって外来種に関しても国外外来種と同様に特定外来生物に指定する範囲に含めるべきだと問題視している専門家は多いです。

しかし、世間一般的に外来種問題を軽視するおかしな風潮がありますよね。そのくせ外来種(国外外来種)を過剰に敵視する。

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Twitter限定で、だと思いますが「国内外来種」を軽視する風潮がありますよね。なぜなんでしょうね。外来種は「国内外

『「外来種」と「外来生物」の違いと「特定外来生物指定の要件」についてまとめました』へのコメント

  1. 名前:ゴルゴンゾーラ 投稿日:2019/08/22(木) 10:26:32 ID:01b5affb6 返信

    生態系に被害を及ぼす可能性がある外来生物を特定外来生物に指定しているのなら、どんな生き物でも規制できる気がします。
    それにしても、オーストラリア以外に定着していないヤビーを規制して、明らかに影響の大きそうなミスクレを規制しない環境省の意図がよく分かりません。

  2. 名前:ザリラムズ 投稿日:2019/08/22(木) 14:35:23 ID:50f36a988 返信

    明治以降に移入という条件は設けてますがその条件をクリアしてればどんな外来生物も規制できるというのはおっしゃる通りだと思います。したがって制度上、専門家の先生の議論を経てさらにパブリックコメントを募集したりとそうはならないよう制度設計がされていると思います。

    ヤビーはおそらくザリガニペストを恐れてではないかと思います。ニホンザリガニは日本固有でザリガニペストには耐性がないとされています。

  3. 名前:ゴルゴンゾーラ 投稿日:2019/08/22(木) 17:27:37 ID:7ba9fa77d 返信

    本当にザリガニペストが指定の理由かどうかは少し微妙なところがあります。
    アメリカザリガニは流通量が多いという理由で指定を免れた訳ですけど、その他、フロリダブルーやミスクレなんかはザリガニペストに対して免疫がありますし、アメザリ程蔓延してませんでしたし。
    環境省が慈悲をかけたつもりで敢えて未判定に留めたのかも知れませんが、もしもそれが理由だとすれば、比較的安全なヤビーやマロンを残して他のザリガニを規制していたような気がします。
    それか、前列を作る為に適当に指定したのかも知れません。
    ザリガニは当時生物学的に謎の多い分野だっただけに、僕としては浅ましい考えで指定したんだと思います。ザリガニペストについてもあまり解明されていない部分も多かったのではないでしょうか?
    それと、専門家の方々の議論も、パブリックコメントも、あまり意味をなしていないと思います。ブラックバスの指定で集まったパブリックコメントを見れば明白でしょう。

  4. 名前:ザリラムズ 投稿日:2019/08/22(木) 18:22:04 ID:50f36a988 返信

    ヤビーは食用としても養殖されてるので話は別としてそもそもオーストラリア政府は他のケラクス属の輸出を認めてるんでしょうかね?

    相手側が規制してるから整合性をあわせる意味だったり指定しても影響が少ないからこちらも規制ということはあると思います。結構影響度なども熟慮して選定していると思いますので。

  5. 名前:ゴルゴンゾーラ 投稿日:2019/08/22(木) 20:14:38 ID:7ba9fa77d 返信

    オーストラリアは生態系が独特だから生き物の輸出入にシビアなんだと思います。ただ、手続きを踏めば可能ですし、無脊椎動物については比較的輸出しやすいみたいです。
    日本の固有種って大体亜種か何かで、世界中探せばどこかしらに似たようなのがいる、みたいな生き物ばかりじゃないですか。
    こんなこと言ったらアレですが、あまり日本の古来の生態系に重要性を感じないんですよ。もうブラックバスなりブルーギルなりが入り込んでる訳で。
    どこぞの湿地好きさんは独自の解釈で在来水草の重要性を主張してますけど、極論、ああいうのが全部カボンバやアナカリスなんかと置き換わっても何も起きないと思うんですがね。

  6. 名前:ザリラムズ 投稿日:2019/08/23(金) 10:38:24 ID:fee982cf2 返信

    そうですね。生態系ってそもそも流動的なものですし人間の活動がかなり近代化して物流の発達により物理的距離があまり意味のないものになりつつあるのに、在来種だけの生態系の保護なんて無理ですし何の意味がないと自分も思います。

    外来種が悪い面もありますが有効な面もあるので例えば農業とか畜産とかでは外来種を品種改良したりして有効に活用しててその恩恵を受けてるはずなのに、外来種を一方的に悪と決めつけて議論を硬直化させてしまうのは問題ですね。

    外来種はうまく利用すればかなり経済効果を発揮するので一方的に敵視するんじゃなくうまく利用していけばいいと思うんですよね。例えばシバザクラ(北米原産)は観光資源として利用されてますしブラックバスもかなりの経済効果を産んでます。錦鯉もそうですしアメリカザリガニもそうです。ザリガニに関しては食用や餌としても活用できるのでそういう文化が根付けばな~と思いますが