北海道に生息するエゾヒキガエルはアズマヒキガエルの国内外来種だとされています。
しかしそのエゾヒキガエルの歴史について調べていくと「函館周辺に生息しているエゾヒキガエル(アズマヒキガエル)の個体群は本当に国内外来種なのか?」と疑問に感じてしまいます。その内容について以下のとおりまとめてみました。
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エゾヒキガエルには2系統ある
ちなみに北海道に生息するエゾヒキガエル(アズマヒキガエル)には函館周辺に生息する個体群と旭川の石狩川流域に生息する個体群の2系統います。
こちらも詳しいです。
外来種とは
ちなみに外来種とは、
- もともとその地域にいなかったのに
- 人為的に他の地域から移入してきた生き物のことをいいます。
それに対してエゾヒキガエルはもともと北海道に生息していなかったことは判明しており、さらに1986年頃石狩川流域で放流された記録は残っているものの(つまり石狩川流域の個体群は100%外来種で議論の余地なし)
1912年に函館で発見された個体群に関しては人為的な持ち込みだという記録は一切残されていないです。それなのに函館周辺に生息するエゾヒキガエルまでも外来種だと断定している風潮はかなりおかしくないですか?
追記:エゾヒキガエルが明治初期以前から函館に!?
エゾヒキガエルが最初に函館で発見されたのは1912年だとされていますが、1876年(明治9年)の明治天皇東北御幸の際、函館に立寄りヒキガエルを観察されたという記録があるようです。つまり函館には明治初期以前からエゾヒキガエルが生息していた可能性があるようです。詳細はコメント欄をご覧ください。
エゾヒキガエルは1912年に北海道で発見
時代背景等を順に追って解説しますとまず最初に北海道でエゾヒキガエル(アズマヒキガエル)が発見されたのは今から100年近く前、1912年の明治時代です。
そしてエゾヒキガエル(アズマヒキガエル)が最初に函館で発見された以後エゾヒキガエル(アズマヒキガエル)は北海道固有種とされ、その後何十年間にわたり有志の方たちにより保全されていました。
本州に生息するアズマヒキガエルと遺伝的に同一
その後1990年くらい(正確には1981年詳細はコメント欄を参照ください)に北海道に生息するエゾヒキガエルが実は遺伝的にはアズマヒキガエルと同一であることが判明します。線表にするとこんな感じ↓
1986年にアズマヒキガエルが旭川で放流された
なお、最初に北海道でアズマヒキガエル(エゾヒキガエル)が発見されたのは1912年(※)の函館ですが、その後1986年頃に北海道の深川市の住民が埼玉県から持ち込んだ段ボール箱10箱分のアズマヒキガエルを石狩川流域で放流したそうです。
深川市内の動物愛好家が1986年頃に埼玉県からヒキガエルを持ち込んで飼育していましたが,それを神居古潭の親類宅近くの溜池に放逐したというのです(北海道新聞1995年8月21日の記事)
この放流された個体群が石狩川流域で大繁殖して急速に生息域を拡大したことで結果として2015年に北海道から指定外来種に指定され防除の対象とされるに至ります。
旭川周辺のエゾヒキガエルは間違いなく外来種
なお、石狩川流域に生息するエゾヒキガエルの個体群は1986年の放流が原因であるため100%国内外来種です。これは駆除したほうがよいことは言うまでもありません。
エゾヒキガエルが津軽海峡を自力で渡れた可能性
なお函館周辺に生息するエゾヒキガエルの個体群に関しては津軽海峡を自力で渡ってきた可能性があります。それに関しては別記事にまとめました。

北海道に生息するエゾヒキガエルの歴史
ここまでのところを線表にすると次のとおりです。
旭川市周辺に定着する個体群に関しては前述のとおり100%外来種で間違いないですし生態系等に被害が発生しているならば駆除することは仕方ないと思います。
しかし函館周辺の個体群までまとめて駆除の対象にする必要ってあるんでしょうか?函館周辺の個体群に関しては石狩川流域の個体群とは異なり繁殖地が限られていて保全しないとそのうちいなくなっちゃう可能性もあるような生き物です。
さらに↓のような事実を考えると。。。
- 函館のエゾヒキガエルと明治天皇とのゆかり
- 江戸時代からエゾヒキガエルが函館に生息していた可能性
- 函館周辺のエゾヒキガエルに関して生態系被害は限定的
- 函館周辺の個体群に関して人為的な移入である記録は残されていない
- ヒキガエルが自力で津軽海峡を渡れた可能性がある

こんばんは、今年、近所の公園でヒキガエルのオタマを連れてきて育ててます。上陸してカエルになりましたが、餌に苦戦してます。
タイムリーな話題だったのでコメントしてしまいました。