ザリガニの脱皮メカニズムについて解説(浸透圧による脱水と吸水)

 

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今回の記事では「ザリガニの脱皮メカニズム」についてまとめてみます。

ちなみにこれがザリガニの脱皮です↓(少し長いです)

なお、今回の記事は2021年1月に公開した記事を読みやすく修正したものです。

成長のためには脱皮が欠かせない

まず色々と前置きから解説しますと、ザリガニは硬い外骨格により身を守っています。

したがって成長するためには硬い外骨格を脱ぎ捨てる脱皮が欠かせません。これはザリガニに限らずカニ、エビ、シャコ、ダンゴムシなどの甲殻類に共通しています。

ザリガニの生物学上の分類
以前自分用に作成したものですがザリガニの分類について関心がある方が多そうですので公開してみます。 この

硬い外骨格の内側に新しい外骨格が収納されている

ザリガ二の硬い外骨格の内側には新しい外骨格柔らかい状態で収納されています。

死んだザリガニを解剖した際の画像をご紹介しますとこんな感じ↓

もっとめくるとこんな感じ↓

【閲覧注意】黒いザリガニシザー解剖画像
黒ザリが死んだので解剖してみました。 箇条書きでいきますよ~ グロい部分もあるので苦手な

胃石にカルシウムをチャージしている

ザリガニは胃石にカルシウムをチャージ(貯蔵)しています。下の画像の白い丸っこいのが胃石でして左右2個で対になっています。

脱皮直後のザリガニはふにゃふにゃしていますがこの胃石のカルシウムを血液に溶かして新しい外骨格に定着(石灰化)させることで硬く硬化します。

胃石には3つの役割がある

ザリガニの胃石には次の3つの役割があります。

  1. 新しい外骨格を硬化させる
  2. 浸透圧により脱水する
  3. 浸透圧で吸水する

1.に関しては前述のとおりですし広く知られています。しかし2.と3.に関しては全く知られていないと思いますがザリガニの脱皮メカニズムを考えた上では非常に重要です。なお、あくまで当方の仮説による新説ですので実際検証したりどこかの文献にそういった記載があるというわけではないです。

ザリガニの脱皮の兆候

ザリガニは脱皮間近になると胃石が透けて目立ってきます。したがって外骨格から胃石が透けて目立つようになったらそろそろ脱皮する合図となります。

なお、ザリガニの脱皮の兆候には胃石だけでなく頭胸甲がパンパンに膨れ上がることや頭胸甲と腹部の隙間が目立つようになるといったものが挙げられます↓

脱皮に要する時間

ザリガニが脱皮に要する時間は小さな若い個体であれば数分、大きなアダルトの個体になると5分くらいの時間を要します。脱皮に要する時間はサイズに比例して長くなります。

ザリガニは浸透圧調整により脱皮する

ザリガニは硬い外骨格に包まれています。また爪の関節部分は非常に狭いです。したがって古い外骨格を綺麗に脱ぎ捨てるにはいくつかの工夫が必要でしてそれが次のとおりです。

  • ふにゃふにゃした柔らかい状態で脱ぐ
  • 吸水して膨張した圧力で一気に脱ぐ
  • 脱水した状態で狭い関節部分から爪を抜く

新しい外骨格は脱水した状態で収納

脱皮前の時点では新しい外骨格はふにゃふにゃ柔らかくしぼんだ状態で古い外骨格の内側に収納されています。この時のザリガニの体内は脱水状態になっています。

吸水することで脱皮する

脱皮の兆候が出始めたザリガニの頭胸甲は大きく盛り上がってきますが↓

この状態は既に浸透圧により吸水が始まって膨らみかけた状態です。そして限界まで膨らんだ圧力によりそのまま頭胸甲と腹部の外骨格の隙間から一気に体を引き抜きます↓

古い外骨格から引き抜かれた新しい外骨格はそこから数分程度の時間をかけてさらに浸透圧により吸水して膨らんでいきます。

脱皮の前に吸水が始まると脱皮不全になる

ザリガニの爪の部分は脱水した細い状態で古い外骨格の関節部分から抜きます。しかし、脱皮に時間がかかったりして関節部分から爪を抜ききる前に吸水が始まると膨らんでしまい関節部分から抜けずに脱皮不全になります。

このように関節部分に引っかかって脱皮不全になった場合には古い外骨格の関節部分に切り込みを入れてあげると爪の形はいびつになってしまいますが脱皮不全により命を落とすことは避けることができます。

ザリガニはカルシウムで浸透圧調整している

魚に塩を振りかけると水分が抜けて脱水します。また、ナメクジに塩を振りかけると溶けてしまうというのは結構有名ですがこれらは浸透圧による脱水です。浸透圧による脱水は「塩」が有名ですが塩に限らず起こりえましてザリガニの場合には体内のカルシウム濃度を調整することで浸透圧による脱水と吸水を引き起こしてスムーズに脱皮を行っています。

まとめるとこんな感じ↓

ザリガニは胃石を形成したり溶かしたりすることで体内の「カルシウム濃度」を調整することで周辺の水との体内のカルシウム濃度との差を意図的に作り出し浸透圧により脱水と吸水を引き起こしてスムーズに脱皮を行っている。

胃石を使った浸透圧による脱水と吸水メカニズム

カルシウムを使った浸透圧による脱水と吸水メカニズムを図解すると次のとおりです↓

なぜ浸透圧により脱水したり吸水したりするのかに関しては↓の動画が分かりやすいです。

こちらのページもまぁまぁ分かりやすいです↓

素材や化学にまつわる素朴な疑問をひも解く連載「カガクのギモン」。今回は、海水を淡水にする仕組みについてカガクに詳しい「モルおじさん」が答えます。
コラムのタイトル

ロブスターは内蔵も脱皮するという説

ちなみに今回のテーマに関連して補足しておきますと、ロブスターは内蔵も脱皮する、したがって長寿である、寿命がないなどという説がありますがこれはデマです。詳しくは↓の記事で書きました。コメント欄までお読みください。

ロブスターは脱皮により内臓が入れ替わるため不死身らしいがザリガニも不死身か?
ロブスターは脱皮により内臓まで入れ替わるという説があるようです。しかもこれはそこそこ有名ですね。ただし真偽は不明です
ザリガニの脱皮殻を観察してみました
前回の記事の続きです。 脱皮殻を観察してみます。 ザリガニが内臓まで脱皮するのであれば脱皮殻に内