クサガメは本当に外来種?海を泳いだりして漂着した可能性

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クサガメ(Mauremys reevesii)は日本列島に最も広く生息している淡水亀ですが最近発表された学説で外来種だという意見があるようです。しかしそれに対して異論を唱えている研究者もいるようでまだ完全にクサガメが外来種かどうかは確定していません。

しかし、クサガメは外来種だと確定したと思い込んでいる方が非常に多いようですね。ということで実際のところはどうなのか調べてみた内容をまとめてみます。

なお、一応クサガメを飼育していますがクサガメに特別な愛着などありません。あと今回は触れませんがクサガメとの交雑でニホンイシガメが遺伝子汚染するなどと騒いで危機感を煽っている人がいますがそんな事実は確認されていないです。ただの可能性レベルの話なので感情的にならないで冷静に考えてみませんか?

生態系被害防止外来種リスト

「生態系被害防止外来種リスト」というものがあります。ちなみにこちら

これは生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種を幅広く環境省がリストアップしているものです。そこには「ミシシッピアカミミガメ」や「アメリカザリガニ」などおなじみの外来種の名前が記載されていますがここにクサガメの名前はどこにも記載されていないです。つまり日本政府の公式見解としてクサガメは外来種ではなく在来種だとされているということです。

ちなみに「生態系被害防止外来種リスト」からクサガメがされている理由は次のとおりなんだそうです↓

今回発表された生態系被害防止外来種リストにて掲載を見送られたカメがいます.クサガメです.その理由について,補足資料内に「クサガメを掲載しないことについて」という章を立てて,説明が記してあります.それによると,クサガメ日本列島集団の外来性を指摘した著者らの研究に対し,この学説は近年に提唱されたもので,クサガメが在来種である可能性を完全に否定することはできないという意見があり,また本リストの検討委員よりクサガメが外来種であることの検証は未だ不十分であるとの意見が出たことをふまえ,現時点では掲載しないこととする

引用元

要するにクサガメは外来種だとする論文が発表されてはいるがそれだけではクサガメを外来種だと断定する根拠として乏しいということです。当ブログとしても完全に同意見です。

クサガメは海を渡れる

ちなみに当ブログがクサガメは外来種ではないと考える一番の根拠はクサガメは自力で海を渡れるということです。

つまり、「外来種とは意図的か非意図的かに関わらず人間活動に伴って別の生息域に移入してしまった生き物」のことを言いますが、クサガメは自力で海を渡れるため人間が持ち込んだ外来種だとは断定できないです。

2/28追記:コメント欄で補足しましたが流木などに乗っかって大陸から漂着してくる可能性も普通にありえませす。例えばオガサワラヤモリのように。

クサガメに関する記録は江戸時代より前にない

なお、クサガメに関して江戸時代より前の記録は見つかっていないようです。化石なども一切見つかっていないのだとか。

日本の個体群に関しては化石の発見例がない、最も古い文献でも200年前に登場し江戸時代中期以前には本種に関する確実な記録がない、江戸時代や明治時代では希少で西日本や南日本にのみ分布するという記録がある

wiki

これがクサガメが外来種だとされる大きな根拠のひとつのようですが、江戸時代あたりにクサガメが自力で海を泳いで渡ってきたと考えれば江戸時代より前に記録が残されていないのは当たり前なのではないでしょうか?

ちなみに、対馬や五島列島にはニホンイシガメが生息しているようなんですがなんだかモヤモヤしませんか?単純にこういうことなんじゃないんですか?↓

朝鮮と日本のクサガメの遺伝子はほぼ同一らしい

またクサガメが外来種だとされるもうひとつの根拠が日本に生息するクサガメと朝鮮半島に生息するクサガメの遺伝子がほぼ同じであることのようです。

日本の19地点、132個体のミトコンドリアDNAに基づく分子系統学的解析では、日本の個体群は3つの系統に分かれ大半を占める系統が大韓民国の個体群と遺伝的差異がないか、ほぼないという解析結果が得られた

wiki

しかし江戸時代あたりにクサガメが自力で海を渡ってきたのであれば遺伝子的にほぼ同一であるのは当たり前です。

江戸時代といえば今からだいたい400年前となりますが、400年という年月は人間感覚でいうととても長く感じますが自然選択により種が進化するためには400年なんて短すぎますので遺伝子がほぼ同一であるなんて当たり前です。またそもそも台風などにより頻繁に流されてきている可能性もあります。

以前ニホンザリガニは自力で津軽海峡を渡れた可能性があるという内容の記事を書きましたがこれと全く同じです↓

ニホンザリガニが津軽暖流に乗って津軽海峡を超えた可能性
前回の記事の続きです。 前回の記事では本州に生息するニホンザリガニは外来種の可能性があると書きました。

クサガメは特定外来生物に指定できない

ちなみにクサガメがもし仮に外来種だとしても、現行法上、クサガメを特定外来生物に指定して駆除(防除等)に国が乗り出すことは100%ありえないです。不可能です。

特定外来生物に指定するのは明治以降に移入した外来生物に限ると外来生物法に定められているからです。詳しくはこちらをご覧ください↓

「外来種」と「外来生物」の違いと「特定外来生物指定の要件」についてまとめました
Twitterを見てますと「外来種」、「外来生物」という用語を結構頻繁に目にします。しかしこれらの用語の正確な定義を

ニホニシガメとの交雑問題

ところでクサガメといえばニホンイシガメとの交雑が問題視されていてクサガメを野放しにしているとニホンイシガメの遺伝子が汚染されると過激なことを言ってる方が多いですがこれもかなりおかしいです。その件に関してはこちらの記事に書きました。

ちなみにちょっと話はズレますが、クサガメの雌雄判定の方法はいくつかあるのですがひとつの判定ポイントがしっぽです。上の写真でいうとしっぽの太い左の個体がオスです。ただししっぽが太いか細いかは複数匹を比較してようやく判別できる程度のものです。これ以外にも甲羅の裏側から下腹部がへこんでるか膨らんでいるか等、総合的に見て雄雌判定は行うようです。

ニホンイシガメも一部の地域に生息するものは外来種

なお、日本固有種で希少な在来種だとされているニホンイシガメですが、こちらに関しては一部の地域に生息する個体群は国内外来種である可能性が高いです。つまり少なからず生態系被害を引き起こしているということです。

ニホンイシガメの分布としてはこんな感じであるそうですが↓

日本固有種。具体的な分布は本州、四国、九州、隠岐諸島、五島列島、対馬、淡路島、壱岐島、佐渡島、種子島

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例えば「佐渡」は四方を海に囲まれていますのでここに生息するニホンイシガメの個体群は人間が持ち込んだ可能性が多いにありえますよね?

実際東北地方に生息するニホンイシガメは国内外来種の可能性があるそうです↓

例として馬毛島と屋久島にも分布するが、1980年代に行われた調査では分布が確認されていなかったため後に人為的に移入されたと考えられている。東北地方でも記録があるが人為分布とされ、分布の北限は関東地方と考えられている

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『クサガメは本当に外来種?海を泳いだりして漂着した可能性』へのコメント

  1. 名前:虫人間 投稿日:2021/02/27(土) 18:49:26 ID:a17659d0b 返信

    確かに最近の、クサガメを外来種とみなす風潮には決めつけるのがまだ早いんじゃないかとは思ってました。ただ、淡水ガメの1日の移動距離は50メートルというデータもあり、海中では餌や水も不足すると考えると、クサガメの体力で泳いだというのはちょっと考えづらい気がします。でも人の手によらず海を渡ったというのはあるとは思います。実際にガラパゴスゾウガメや新世界ザル類なんかは流木に乗って流された数個体から広がって進化したとされてますし、1ペアでも流れつけば可能性は十分あり得ると思います。ただ、それにしては広がるのが早すぎるので、人が運んだ部分もあるのかとは思いますけど。

    • 名前:ザリラムズ 投稿日:2021/02/28(日) 15:25:28 ID:c10047e3c 返信

      記事には泳ぐと書きましたが必ずしも自分で泳ぐ必要はないと思います。例えば台風で流されてくるとか何かの上の乗っかって漂着するとか可能性は色々と考えられます。基本的に台風や海流は大陸側から日本列島に向かってますので漂着説は全然あり得ない話ではないどころか普通にありえます。普通にあり得る話なのに江戸時代という比較的最近になるまでクサガメに関する記録が残されていなかったのは有性生殖を前提とすると最低でもペアが漂着してそれが日本列島の広大な自然環境の中で偶然出会う必要があるから定着するのはなかなか簡単ではなかったからと考えるとまぁ普通に説明がつきます。

      ちなみに海を泳いで渡ることができないオガサワラヤモリは東南アジア周辺の国々に広く分布していて日本のオガサワラに生息するものは自然分布した「在来種」だとされていますがなぜだかオガサワラヤモリよりも乾燥耐性もあって自力で海を泳ぐこともできるクサガメの議論になるとクサガメが自力で海を渡ったり漂着した可能性を全く考えないのはおかしいを通り越してもう謎でしかないです。
      http://ogasawara.jwrc.or.jp/?eid=85

      淡水亀が海を泳いだり漂流物によって漂着して自力で海を渡る可能性はゼロだからクサガメは外来種だと断定するのであれば四国や五島列島などの島に生息するニホンイシガメはいったい何なの?って矛盾します。あれは自力で海を渡ったということで在来種にしているはずです。

      結局のところ「人間活動に伴って意図的非意図的に関わらず別の生息域に移入したものが外来種」だという定義は一応あるもののこれは全然守られていないんです。その場その場で都合よくこれはだめこれはいいってやってるだけ

      例えば在来種であっても国内外来種は外来種なのに在来種扱いされます(例えば池の水を抜いた番組など)し、日本固有種(例えばイシガメ)の場合には人間が放流したり遺棄がきっかけで分布が広がったとしても外来種扱いされないですし、日本固有種や希少種の場合には保全という名のものと人間が積極的に自然の生態系に手を加えるのが正しいとされます(かなり意味不明だし意味ないのに)し、中国から持ち込んだ外来種の鳥を在来種トキということにしてありがたがって毎年10億円くらい税金を投入してます。

  2. 名前:シーサー 投稿日:2021/03/30(火) 23:48:03 ID:f24021e51 返信

    始めまして。最近この記事を見始めたものです。確かに私もクサガメ=外来種には疑問が残ります。(まあ、そんなことを言ってしまえばハクビシンやタイワンキンギョなどもそうですが)。それでもクサガメが海を渡れるとなると沖縄のヤエヤマイシガメやヤエヤマセマルハコガメはどうだという話になりますし。上記の2種は大陸産との遺伝子の違いからヤエヤマという名前がついていますし。上の方の質問でオガサワラヤモリは在来種と書いてありますが、実際は大東諸島の物は地域個体群で、それ以外の国内の個体は外来個体か在来個体か不明というのが国の認識です。だから結局在来種か外来種を見分けるには遺伝子の違いが大きいと思います。そもそも江戸時代になってからクサガメが大陸を渡ったって言うのも何で今まで渡って来てないのに江戸から急に渡ってるんだよwって思います。じゃああなたがクサガメを海水の上に浮かべて実験してみたら?と思いもしました。私ながらの推測だとオガサワラヤモリは単為生殖ができるので海で木の枝の上に乗っているときに空腹などで力尽きるまでに子孫を残してその個体が島で生き延びたんだと思います。クサガメが江戸に海を渡って日本に来たんだ!!ということをあなたが気にくわないと思っている専門家に提示してみてはどうですか? ニホンイシガメはどう考えも日本が本州や四国や五島列島に分かれる前から存在していると思いますしww  結論としてクサガメが近年大陸を渡って日本に来たというのは流石に無理があるように思います。(現在の日本産クサガメに対海水性能が無いと証明できない気もしますが)生き物についてはそこまで詳しくないのですが、何か意見があれば聞かせてほしいです。それとも私の意見が杜撰ですか?ネットバカっぽいですか?ただの生物科の学生っぽいですか?あなたはこの文章は気にくわないですか?

    • 名前:ザリラムズ 投稿日:2021/03/31(水) 02:59:32 ID:e339eaae9 返信

      シーサーさん(某シーサーさんとは別の方だと思いますが)初めまして。

      ご自身でも気づいておられる通りとにかく自分の主張にとって都合が悪い意見を否定したいというのが見え見えでちょっと気持ち悪さを感じましたが、もしかしたらシーサーさんご自身も当記事に対してそういった印象を受けたかもしれませんが、、、

      しかし当方は記事中にも書いているとおりクサガメが特定外来生物に指定されようが駆除されようが無残に殺されようが全く興味がないです。特に愛着などないです。亀はとてもかわいいと思いますがスッポンが普通に食材として利用されてますしクサガメが殺されるとしてスッポンと何が違うんだろうくらいにしか思ってません。単純に真実が知りたいだけです。

      またワニガメを殺すなとか主張されてる某お方がおられますがワニガメが日本国内の自然環境に生息していたら人的被害等が発生しかねない害悪があるならば可哀そうだとしても駆除されて殺処分されてしかるべきだと思うのでむしろワニガメが可哀そうだとかそういう感情的なことを言ってる人こそ害悪だと思ってます。つまり完全なイーブンな立場として本クサガメに関する記事を書いてます。

      そもそもクサガメは外来種だから駆除するべきだと世間一般で言われていますが現行法上クサガメを特定外来生物に指定することは不可能でして、つまり「クサガメを駆除しないとニホンイシガメの遺伝子が消滅してしまうううう」などとどこかの大学教授などがぎゃあぎゃあ騒いだところでクサガメを国として防除等の対策をとることは現行法上絶対にありえずクサガメが外来種か在来種かという議論そのものが不毛です。

      ヤエヤマセマルハコガメの件ですが、セマルハコガメは以前から興味があったので逆にお伺いさせていただきたいのですが現在国内流通しているセマルハコガメとヤエヤマセマルハコガメに外見上の違いはあるのですか?

      遺伝子検査しなければ両者を判別できないのであればそれって違う種なのですか?

      あと記事中にも書いているとおりたった1匹でも運よく海を渡れたら子孫を作れる単為生殖する種と雄雌両者が同じ時に同じ場所に海を渡れないと子孫を作ることができない有性生殖する種とでは意味が全く違うと思いますよ。

      さらにクサガメに関しては江戸時代あたりのペットブームで中国から大量に輸入されてきたらしいとしても、それ以前に僅かでも自力で海を渡って自然分布している可能性が残されている限り完全な外来種とは言えず、かなり取り扱いが難しいと思います。遺伝子だけを根拠として外来種だと断定するのは簡単ですが本文中で紹介した論文の発表者自身もクサガメは外来種で間違いないと断定していません。あくまで外来種である可能性について言及しているのみです。

      そもそも先ほど書いたとおり現行法上クサガメを特定外来生物に指定して国として防除等を行うことはありえませんので在来種か外来種かの議論そのものが完全に不毛だと思います。

  3. 名前:ザリラムズ 投稿日:2021/04/01(木) 12:13:17 ID:8ca1760bd 返信

    ちょっと補足しますが、多分勘違いをしておられと思いますが(世の中の一般の方の大半も勘違いしている)研究者というのは真実や真理を追求している発明家や科学者ではないんです。自説を発表して自説を主張することで生活しているそういう職業の方です。

    亀の遺伝子を調べたら~と主張している人に亀が自力で海を渡った可能性は本当に0だと言えるんでしょうか?と質問したところで彼から言わせれば数か所で採取した亀の遺伝子を調べたら同一性が認められたという事実に基づいて私はクサガメは外来種じゃないかと思うで終了なんですよ。彼は真実を追求しているわけではなく自分の意見を文献にまとめて主張しているだけなので。学説としてはあれはあれで正しいです。

    意味分かりますか?

    論文がおかしいんじゃなく、この学説が発表されたからクサガメは外来種なんだ!と曲解してしまうその他大勢がおかしいんです。遺伝子はただのひとつの事実に過ぎずそれだけをもってクサガメは外来種だと断定することはできないです。だから政府の公式見解としてもクサガメは在来種ということになってます。もうちょっといろんな事実を積み重ねて色んな可能性を考えないとクサガメが外来種かどうかは判断できないです。

    こういう学説がある、しかしこういう可能性もあるんじゃないか、いやそれはおかしいんじゃないか、こういうのが科学の本当の姿であるはずです。

    ある学説(意見)がでたというだけでそれを真実だと思い込んでそれ以外の可能性を全否定するのはそんなの科学でもなんでもありません。宗教みたいなものです。クサガメ外来種教オイカワマル教。レベルが低い。