クサガメとの交雑でニホンイシガメの遺伝子は汚染されていないという現実

 

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「クサガメとの交雑でニホンイシガメの遺伝子が汚染される」、「クサガメとの交雑で純粋なニホンイシガメの遺伝子が消失してしまう」などと過激なことを言ってる方が多いですが(研究者の方にも)あくまでこれは可能性レベルの話であって実際に遺伝子が汚染されたニホニシガメは見つかっていないですし純粋なニホンイシガメが減ってるなんていう事実はないです。

知人から送ってもらったニホンイシガメの写真

それなのに、クサガメの議論になると一方的な思い込みで感情的になって冷静な議論ができず、過激な発想に走る方が非常に多いようですので別に亀の愛好家でもなんでもないただの一般人の当方が公平な立場として事実を事実として記事にまとめてみます。

ちなみに前回の記事で書きましたがそもそもクサガメは外来種だと確定したわけではなくむしろ日本政府の公式見解としてはクサガメは在来種です。ここから間違えている方が非常に多いと思いますが。

クサガメは本当に外来種?海を泳いだりして漂着した可能性
クサガメ(Mauremys reevesii)は日本列島に最も広く生息している淡水亀ですが最近発表された学説で外来種

鈴木大という研究者

クサガメは外来種なんじゃないかということが最初に日本で言われだしたのは当方が調べた限り2010年くらいのことでしてきっかけは鈴木大という研究者が2010年頃発表した『江戸本草書から推定される日本産クサガメの移入』という文献においてです。

この文献の詳細内容は公開されていないので不明ですが遺伝子解析による手法を用いてサンプリング調査を行ったらクサガメの日本個体群と韓国個体群の遺伝子が同一だったからクサガメは外来種だ!wという内容であるようです。

なおこの文献が発表された当時他の研究者からサンプリング数が少ないから根拠として乏しいという否定意見もあったそうです。大学生の卒業論文とかそういった類のものだったんでしょうかね?内容を読むことはできませんが稚拙な印象しかないです。

自力で海を渡ったり漂着した可能性を考えるべき

前回の記事でも書きましたが外来種かどうかを断定するには遺伝子を調べるだけではなく、自力で海を渡ったり流木などにしがみついて漂着した可能性も検討する必要があります。オガサワラヤモリのように。

クサガメは本当に外来種?海を泳いだりして漂着した可能性
クサガメ(Mauremys reevesii)は日本列島に最も広く生息している淡水亀ですが最近発表された学説で外来種

それが否定できない限り遺伝子が同一だからといってクサガメが外来種であることの証明にはならないので鈴木大という研究者の書いた『江戸本草書から推定される日本産クサガメの移入』という文献の内容は当ブログは全く支持できませんしこれだけではクサガメが外来種であることの証明として非常に根拠が乏しいと思います。

ニホンイシガメとクサガメの異種間交雑

なお、その鈴木大という研究者はその後2015年くらいに『ニホンイシガメとクサガメの異種間交雑』という文献も発表しています。雑誌の記事のようですが。

ちなみにこちら

内容ですが、前半部分はダラダラと長いので読み飛ばしていただいて4ページ目の「おわりに」という項目のちょっと前あたりから大変面白いので興味ある方はぜひ読んでいただきたいのですがポイントは次の2点です。

  1. クサガメとの交雑によりニホンイシガメの遺伝子が汚染される可能性がある
  2. その反面、交雑系統は発見数も少なく自然消滅している可能性もある

冒頭に書いたとおり、クサガメとの交雑でニホンイシガメの遺伝子が汚染される、純粋なニホンイシガメの遺伝子が消失してしまうなどと過激なことを言ってる方がとても多いのですが鈴木大という研究者いわく現状、遺伝子汚染されたニホンイシガメは発見されていないのだそうです。

「えええ~~~???」って感じですよね。クサガメに関しては現状何も問題が発生しておらず色々言われていることは全て可能性レベルに過ぎないし全く問題ない可能性もある。それなのに過剰に問題視して外来種クサガメは駆除しなければいけないなどと一方的に騒ぎ立てるやり方は科学的に考えていかがなものかと考えてしまいます。

300万円の研究費が助成された

ちなみに鈴木大という研究者のこのクサガメの研究に関して2016年、2017年に合わせて国から約300万円の税金が助成されています。

文部科学書から直接助成された研究費はKAKENというサイトで調べられます↓

クサガメの遺伝子を調べてクサガメは外来種だ!と断定するだけの作業で2年間で300万円はとても美味しいですね。田舎だったらこれで家一軒建ちますね。

交雑種ウンキュウには生殖能力がない

なお、クサガメとニホンイシガメは実際に交雑します。これは事実です。そしてその結果いわゆるウンキュウが誕生します。

引用元

しかしウンキュウのペアには生殖能力がないため子供を作れません。つまり、交雑種ウンキュウが誕生してもその後子孫が作れないので基本的に雑種第一世代で終了ということです。

しかし、戻し交配によりウンキュウにクサガメかニホンイシガメが掛け合わさると子供は産まれるんだそう。しかしそもそも自然界で交雑体が誕生すること自体が稀でさらにその交雑体が運よく戻し交配で子供が産まれることも稀です。

クサガメとニホニシガメが同時に生息している生息地は日本に沢山ありますがそういった場所で当たり前のように交雑種ウンキュウが見つかるかといえばそうではなくウンキュウの発見自体稀なんだそうです。

それなのに鈴木大という研究者が言うようにクサガメに関して早急に対策をとる必要があるんでしょうかね?当ブログはそんな必要全くないと思いますけどね。クサガメを駆除とか言ってやりだしたらいったいいくらの税金がかかると思っているんですか?毎年何10億という無駄な税金をそんなことに使ってほしくないです。そんなことにお金を使うくらいなら幼稚園を作るとかもっと有意義に使って欲しいです。これは国民としての意見です。

交雑には一定条件が必要

なおこれはあくまで仮説の話なので当方自身で実際に検証してみたいと思っているのですが、異なる種を複数ペア同一の環境で長期飼育したとしてもたとえ近縁の交雑可能な種であっても基本的に交雑種は誕生しないはずです。

例えばアメリカザリガニ1ペア、アレニー1ペアを同じ水槽で多頭飼育したとしても異種間交配することはまずないはずです。相手をしっかり選ぶからです。

しかし、アメリカザリガニとアレニーを1ペアだけ水槽に入れて長期飼育していたらもしかしたら稀に交配してしまうかもしれません。しかし交配したからといって100%子供が産まれるわけではないです。

クサガメとニホンイシガメがこれと同様かどうかは知りませんがおそらくこれに近いはずです。この検証はぜひ行いたいと思いますし大変有意義なので国から研究費を助成していただきたいくらいなんですがそんなはずはないのでこういう検証を当方は毎回自費で行っています。

自然交雑により新種が誕生する

世間一般的に「交雑」を非常に嫌う風潮があるようですが、人為的に交雑種を作る人為交雑(例えばライガーなど)は自然の摂理に反するためあまり良くないことだと思いますが、人為交雑ではなく自然に交雑した自然交雑を過剰に危険視する風潮が全く理解できません。

自然界で交雑種が誕生するのは普通にある話で(ただし前述のとおり動物の場合基本的に雑種第一世代には生殖能力がない)そうやって誕生した交雑種が閉鎖空間に取り残されて何千年と累代したらやがてそれは新種になるわけでそうやって種が多様化するのが進化の歴史なのに自然交雑を過剰に敵視するのはちょっとおかしいです。

ちなみにクサガメとニホンイシガメとの交雑は自然交雑です。

『クサガメとの交雑でニホンイシガメの遺伝子は汚染されていないという現実』へのコメント

  1. 名前:うふふ 投稿日:2021/05/30(日) 07:20:06 ID:92a37d228 返信

    3000千円って書いてあるんだけど、たぶんこういう表記の仕方を知らないのよね。頭悪いんやね。

    • 名前:ザリラムズ 投稿日:2021/05/30(日) 09:49:49 ID:44fee06d2 返信

      ご指摘ありがとうございます。この程度の研究であの金額はかなりありえないと思ってましたが納得しました。訂正させていただきました。

  2. 名前:エゾヒキガエル研究会 投稿日:2021/06/07(月) 01:15:07 ID:53ff51e7b 返信

    今晩は。
    ふと思ったのですが、外来種撲滅の考え方って何か幕末の尊皇攘夷みたいだなあって気がしました。
    外国人を斬ったところで国を護ることにはならない、なのに多くの若者がこの思想に取り憑かれて暴走‥
    同様に「外来種さえ駆除すれば」というのも一種の流行り病、呪いの文句さながら、生態系というものの全体像を考えない、まさに「木を見て森を見ず」ではないでしょうか。
    声高に外来種を敵視する人に限って、レジ袋とか食品ロスとか仮想水とか省エネに無頓着だったり無知だったりするのかもしれません。
    クサガメの件、大変興味があります。
    様々な意見や可能性の話を聞き、想像を膨らませるのはとても楽しいことです。
    私も道内では移入種の可能性があるいくつかの生物(ニホンアマガエル・オオカマキリ・ヤブキリ・ヒグラシetc)のルーツについて、いつか調べてみたいと思っています。
    ただし、その結果たとえ移入種だったとしても、それらは地域の生態系の貴重な構成種であることに変わりありません。ベタな青春ドラマ風に言えば「君が何者であっても友情は変わらないよ」みたいな。
    それが農林漁村や里山の自然の姿であり、その土地が歩んできた歴史でもあり、環境や種の多様性でもあるからです。
    すいません、また思い付くがままのコメントをしてしまいました。

    • 名前:ザリラムズ 投稿日:2021/06/07(月) 20:37:38 ID:54a4d19cb 返信

      生態系は食物連鎖により成立していていろんな種が食って食われてで繋がっていてそれにより生物多様性が実現しているんですが、外来種がある場所に定着しているということはその場所の生態系=食物連鎖に組み込まれてることを意味するので外来種は人間の手により移入したものだからという理由で駆除してまびくのが本当に正解なのかなっていう疑問があります。

      あとその外来種を駆除したところで単純に在来種が増えるわけじゃないんですよね。食物連鎖で他の種に影響を与えるわけですから。

      オーストラリアで猫を大量に駆除したらネズミが大発生したっていうニュースがありますがちょっと似てますね。

      https://twitter.com/bredinjptyo/status/1399561114279501830

      外来種を駆除して在来種だけの世界を作るっていうのはイスラム原理主義とか異教徒弾圧と同じ過激な思想の持主なんですがなぜだかそれが自然保護だと勘違いしてる人が多いのが理解できないのと、在来種原理主義の人は外来種を嫌って駆除するべきだと言うくせに国内外来種は見逃してて矛盾してるんですよね